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なかいち通信

ハリとお灸の話

⑪ 鍼灸のゆらぎ

NHKで今年3月、冷凍ミイラ「アイスマン」の放送がありました。
ミイラはヨーロッパ・アルプスの氷河で発見され、調査の結果、5300年前のものと判明。

 

驚きの事実がありました。
人体表面15ケ所に刺青(いれずみ)が入れられ、
何とそれが現代のツボの位置に該当していたのです。

胃兪(いゆ)、腎兪(じんゆ)、崑崙(こんろん)等のツボで、腰痛に効く所です。

 

Ⅹ線検査によれば、アイスマンには腰椎すべり症がみられ、腰痛があったと思われます。
ツボはその治療に用いられていたのではないかと言うのです。

 

これまで鍼灸術は中国で生まれ育ったと考えられてきました。


その根拠となっているのが、中国最古の医学書、「黄帝内経(こうていだいけい)」です。
紀元前200年頃に書かれ、基礎医学や鍼灸術、養生法が説かれています。

 

ところが、今回の発見は、それよりも3千年前のアルプス地方に、
ツボを刺激する治療があった可能性を示しました。
これが事実となれば、鍼灸治療は古代中国で発生したという常識がゆらいできます。

 

鍼灸医学界の今後の動向が注目されます。