ハリとお灸の話
㉗「あっ、そこそこ」
右肩の痛みを訴える患者さんです。
痛みは、患者さんの手が届かない、肩甲骨の内側にあります。
指で軽く押さえながら、痛むあたりを探ってみました。
すると患者さんから突然「あっ、そこそこ」と声が出ました。
ここは阿是穴(あぜけつ)というツボになります。
患者さん本人だけが分かる反応点です。
鍼灸医学では、体には14の経絡が分布し、
そこを気血が巡ると考えてきました。
そして、この経絡上でよく反応が現れる所が、
経穴(けいけつ)、いわゆるツボとして残ってきました。
現在、人体には361穴(けつ)のツボがあります。
これは2006年、WHO(世界保健機関)による国際会議を経て、合意されたものです。
解剖学のある研究によれば、ツボの多くは、
神経が骨から出る所、血管や神経が集まる所、
そして関節の周辺に分布しているとのことです。
それゆえツボへの刺激は、これらの神経や血管、関節部に直接作用を及ぼし、
疼痛の緩和、血行の促進などの治療効果が期待できるのです。